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下半身不随の猫と暮らす

2022年2月11日

花の木シェルターには、病気や障害を持つ猫が複数おります。何度かこのブログでご紹介した『えみちゃん』もその中の一頭です。


『えみちゃん』は、骨髄損傷のため後ろ両足が動かせず、自力で排せつもできないため、毎日の排尿や排便に必ず人の手が必要です。


今回は、そんな『えみちゃん』を里子として迎えてくださった中島好美さんにお願いし、「なぜ、障害のある子を選んだのか、決心するまでにどんな葛藤があったか、また、一緒に暮らした結果、引き取る前に思っていたのとどう違ったか」、といったところを率直にお書きいただきました。


『えみちゃんとの出会い』


私と『えみちゃん』との出会いは、花の木シェルターのサイトを開いた時から始まりました。ボランティアには元々興味を持っていて、色んな保護猫活動があることを知っており、自分に出来ることはないかといくつかの保護猫団体を調べた時に『花の木シェルター』さんを見つけました。


もちろん保護猫譲渡も考えていたので、お猫様を見てみると、『えみ』と言う半身不随の女の子が目に止まり、どうしても会いたくなりシェルターへすぐ向かいました。

とても人懐っこい『えみちゃん』。

きっとすぐ幸せな家庭が見つかるだろう、それまで近くで見ていたい、ボランティアするならこの子の居る所がいいと思い、ボランティアにも応募させて頂きました。


近くでお世話するうち、どんな家族が『えみちゃん』をもらうのだろ?私ならこうしたいなぁとか、頭の中で沢山シュミレーションしました。


でも、なかなか上手くいかず、そして、自信も無く、スタッフさんに『えみちゃん、家族見つかりましたか?』と聞くばかりでした。


実はこの時、私は2匹の保護猫と暮らしていて、下の子の悲しい過去を知ってしまい、保護猫の譲渡を受けることをとても悩んでいました。私に『えみちゃん』は荷が重い。きっと面倒みきれないと少し諦めていたのです。それでもボランティアでお手伝いをする度に懐いてくる『えみちゃん』。たまらなくなって、引き取る決意に至りました。


『えみちゃん』改め『くる』


引き取ってからは、もぉ賑やかで元気でやんちゃな『えみちゃん』。名前は〚幸せがくる〛と言う意味で『くる』にしました。


『くる』の日々はオムツ交換から始まります。


圧迫排尿をしなければいけないので、シェルターのスタッフさんに教えてもらってはいたものの、いざ1人でやると全然出ないのです。


本当に何度も「ごめんね」と言いながらお腹を探り、ココってわかっていても押せない。慣れるまで、なんと2週間ぐらいかかってしまいました。

これだけでも毎日2回以上なのに、『くる』はオムツを脱ぐという技まで繰り出すので、毎日がイタチごっこのようになりました。


どうしたらオムツが脱げないか?どうしたら上手く圧迫排尿できるか?

ネットやYouTubeで調べまくり、やっとやっと上手くオムツを履かせられて、

上手く出せた‼️と。。。毎日一喜一憂です。


そんな風にオムツ交換にも慣れた頃、事件が起きてしまいます。


『くる』足を齧(かじ)る。。。


朝起きたら足が血だらけ。「なんで‼️」と思いすぐ病院へ。

先生曰く、『足が動かないから癇癪起こしているのだと思う。』と。。。


そんな自傷行為を防ぐ為、玩具を飽きさせない、噛まないように包帯を。。。

お薬を飲ませ塗り薬を塗り、毎日3回以上の包帯交換。。。

しかし、齧ることをやめてくれません。


正直心が折れました。


『くる』は私の所へ来て良かったのか、シェルターだったらこんな悲しい事にならなかったのかも、と。毎日齧るんです。どんなにしても齧ってしまう。その度、病院へ。。。


その時先生から、足を切断してはどうか、と言われました。


最初はある物は残してあげたいという思いもあり、これ以上酷くさせない努力をしました。しかし齧る行為をやめてくれません。


これは。。。もぉ切断をするしかない。


ある程度、覚悟は決めていたのですが、シェルターのスタッフさんに相談したところ、『足が前に伸びている為、動きにくそうなので、短い方が歩きやすく動きやすいかも』との助言を受け、決断しました。


今は少し短めの足で元気に歩き?というか飛び跳ねてます。少しストレスが無くなったようです。お手製のカバーを付けることによって、齧る事を防ぐ事も出来ました。


『くる』との出会い


こうして『くる』との出会いを文書に書き起こしてみると、大変な事だらけ。

でも、それを『大変』と思わないぐらい『くる』が愛しく可愛いく可愛いです。

(語彙力無しでごめんなさい。)


それに『くる』との出会いにより、外猫さん達が如何に危険に晒され、命の危険を何度も味わっているのか、といったことをもっと知りたいと思うきっかけにもなりました。そして障害を持つ子への接し方として、単に『可哀想』ではなく、『なんでこうなった?』という疑問を持つことも出来ました。


今、実はもう1匹猫が増え、我が家は4匹のお猫様の家族になりました。

毎日賑やかで笑いが耐えません。


仰向けになったり、他猫に甘えている『くる』を見る度に、本当に幸せな気持ちになります。


私に、日々の幸せをくれた『えみちゃん』。


実は私に幸せが『くる』なのでした。


中島好美

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