ペットは超高齢社会の救世主?
- 琴森 美香子

- 9月23日
- 読了時間: 4分
更新日:9月25日

日本では、少子高齢化と晩婚化により、65歳以上の高齢者が全人口の約29%、単身世帯が全世帯の約38%に達しています(2023年時点)。
しかし、どうぶつ保護団体の中には、「65歳以上」や「単身者」を譲渡対象外とするケースが少なくありません。
これは、高齢者は、介護施設入所や死亡により、飼育動物が行き場を失うリスクが高いこと、単身者の場合も、急病や事故などの際、代わって面倒を見る人がいない、といったことが理由と考えられます。
花の木シェルターの取り組み
しかし、花の木シェルターでは、譲渡に以下のルールを設けることで、高齢や単身の方にも積極的に譲渡してきました。
もしもの場合に備え、猫の飼育を引き継ぐ「保証人」をたてる
飼い主・保証人共に飼育困難になった場合は、必ず花の木シェルターへ連絡する
単なる癒しにとどまらないペットの存在
そんな中、私たちを勇気づける研究結果が発表されました! その研究を行ったのは、東京都健康長寿医療センター研究所の「社会参加と地域保健研究チーム」。
当該チームは、まず先行する研究により、⓵ペットを飼う高齢者は、自立喪失(自分で日常生活を営む能力)のリスクが大きく下がることを確認し、後続の研究で、②ペット飼育者の介護費用が、非飼育者の約半分に抑えられていることを明らかにしました。
ペット飼育と自立喪失リスクの関係
では、まず先行研究から、ペット飼育が自立喪失リスクをどれほど下げるのかを見てみましょう。https://www.tmghig.jp/research/topics/202304-14828/

過去に犬か猫を飼ったことがある人:12%低下
過去に犬を飼ったことがある人:16%低下
現在、犬か猫を飼っている人:29%低下
現在、犬を飼っている人:46%低下
つまり、現在ペットを飼っている人は、まったく飼ったことがない人に比べて自立喪失リスクが約3割低下。特に犬を飼っている場合は、約半分まで下がるという結果でした!
ペット飼育と介護費用の関係
次に紹介するのが、健康状態が同程度の高齢者、460人の介護保険サービス費と医療費を、17か月間、追跡調査した結果です。これにより、ペット飼育者の介護費用は、非飼育者の約半分に抑えられていたことが判明しました!!
介護保険サービス費
ペット非飼育者:1,420円/月
ペット飼育者:676円/月

※医療費については、ペット飼育者 48,054円/月、非飼育者 42,260円/月と差はありましたが、統計上「偶然の範囲」と判断され、有意な差は認められませんでした。
つまり、医療費はほぼ変わらないものの、介護費用には最大2.3倍もの差が生じていたことになります。
日本社会へのインパクト
日本は世界一の超高齢社会です。介護保険サービス費は2023年度、約11兆5,139億円と過去最高を更新。少子化が進む2060年には、高齢化率が40%に達すると予測されています。
この状況下で、ペットとの暮らしが介護予防だけでなく、介護費用の抑制にもつながるとすれば、ペットはまさに、超高齢社会の救世主!💡といえるでしょう。
高齢者がペットと暮らすために
もちろん課題もあります。高齢者が安心してペットと暮らすためには、
ペット可住宅の整備
飼い主が飼育困難になった場合の受け皿づくり
医療・福祉と連携したサポート体制
といった取り組みが欠かせません。
しかし、条件さえ整えば、高齢者がペットと幸せに暮らしながら、社会全体の介護費用を抑えることも夢ではないのです。
高齢でも安心して猫と暮らせる「預かりロングステイ」
花の木シェルターでは、この研究結果を背景に、高齢の方でも安心して猫と暮らせる「預かりロングステイ」という取組みを始めました。
これは、子猫の頃にご縁をつかみそこねたり、成猫・シニア猫になってから保護された猫と、「自分の年齢を考えると最後まで面倒を見られるかが不安…。だけど、猫と暮らしたい!」という方とをマッチングし、対象の猫を「おうちの子」として、できるだけ長くご自宅でお世話いただくボランティアです。
この場合、猫は花の木シェルターからの「預かり」という形でお迎えいただくので、もしも、ご自身やご家族の病気・入院・介護施設への入所などで、猫との暮らしが難しくなった場合には、花の木シェルターが再び猫を引き取り、次の居場所を確保します。
このような仕組みにより、猫は行き場を失わずにすみ、高齢の方も安心して猫との暮らしを営んでいただけるものと、花の木シェルターでは考えています。
この「預かりロングステイ」にご興味をお持ちの方は、ぜひ、以下のページをご一読の上、お問合せフォームよりご連絡ください。お待ちしています!
2025年9月23日





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