元さくら猫が不妊手術後もマーキングする悲しい理由とその対策
- 琴森 美香子
- 6月22日
- 読了時間: 5分
更新日:5 日前
「マーキング」とは、動物が尿や分泌物などを使って、特定の場所に自分のにおいを残す行動を指します。

猫の場合、代表的なマーキング行動には以下のようなものが挙げられます:
🟡 尿スプレー:壁や家具などに少量の尿を吹きかけ、自分の存在を主張します。特にオス猫に多く見られます。
🐱 すりすり行動:人や物に頬や体をこすりつけ、「におい腺」から分泌されるにおいを移します。「これは私のもの」と伝えるためのサインです。
では、猫はなぜ、こうしたマーキングを行うのでしょうか?
🐱 猫がマーキングする理由
主な理由として、以下のようなものが挙げられます。
縄張りの主張:「ここ(あるいは、これ)は自分のテリトリー」であると他の猫に伝えるため。
存在のアピール:「自分はここにいる」ことを知らせるため。
ストレスや不安のサイン:引っ越し、新入り猫の登場、大きな音などに不安🙀を感じたとき、自分のにおいがあると安心するため
異性へのアピール(発情期): 異性に自分の存在を知らせるため
このように、マーキングには、猫なりの理由と感情が込められています。猫は言葉を持たないため、においで自分の情報や気持ちを、他の猫や人間に伝えようとしているのです。
✂️マーキングは不妊手術で落ち着く?
猫のマーキング行動は、発情期のホルモンと深く関係しています。そのため、去勢・避妊手術を行えば、多くの場合、マーキングは自然とおさまると言われています。
しかし中には、手術後もマーキングを続ける猫もいます。その中でも特に多いのが、🌸元さくら猫(不妊手術済みの元のら猫)たち。これは、保護現場での私たちの経験からも実感するところです。
🌸 なぜ、元さくら猫はマーキングを続けるのか?
理由として、以下のような背景が考えられます。
📌 成猫になってから手術を受けた
多くのさくら猫は、発情や縄張り行動を経験した後に手術を受けています。いったん身についた習慣は、手術後もすぐには消えないことがあります。
📌 外での縄張り意識が強い
外で暮らしてきた猫にとって、マーキングは「ここは自分の場所だ」という命綱。その自己主張の手段が、室内に移っても残るケースがあります。
📌 環境の変化によるストレス
保護されてからは、室内という限られた空間での生活。さらに、見知らぬ人や猫との接触も増えます。こうしたストレスが、不安や緊張を引き起こし、マーキングにつながることもあります。
🐾 マーキングは、外で必死に生きてきた証
マーキングは、元さくら猫たちが、子猫時代からの過酷な環境の中で身につけてきた“生き抜くための術”。環境が変わっても、すぐにやめることは難しい場合があります。
🐈 今はシェルターだから…という可能性も
花の木シェルターにも、不妊手術後もマーキングをする元さくら猫、「バンビ」がいます。ですがそれは、シェルターという特殊な環境下での行動である可能性も十分にあります。
そのため、「今、してるから…」という理由で、お迎えの検討対象から除外せず、⏳その子本来の姿が見えてくるまで、多少時間をかけて見守っていただければ嬉しいです。
💡おうちに迎えた子がマーキングをした場合
では、おうちに迎えた子がマーキングをした場合は、どうすればいいでしょう?
それにはまず、ようやくおうちの猫になった、元さくら猫の気持ち💖を理解してあげること。それが最も大切です。
彼らにとって、「他の猫と争わずにすむ生活」は、生まれて初めての体験。それがどれほど幸せなことであったとしても、「ここでは、縄張りを主張する必要はないのだ」ということが、すぐには理解できなくても不思議はありません。
ですので、「💡なぜこの子は今、においを残したがっているのか?」という視点で原因を探ってください。
マーキングは猫からのメッセージ💌。もし、マーキングをしてしまうとしたら、それはまだ、完全には安心できていないというSOSのサインかもしれません。
✅ 室内飼育でできる工夫
とはいえ、すぐに理由が分からない場合も多いはず。そんな時におススメなのが、以下の工夫です。
1.トイレ🚽を静かで落ち着ける場所に設置する
猫はとてもキレイ好きで神経質な動物です。トイレが不潔だったり、落ち着けない場所にあったりするだけで、排せつを我慢したり、他の場所で排泄してしまうことがあります。
つまり、トイレを正しく使えている=その環境に安心できている証拠なのです🐾
2.猫が「🕳️隠れる場所」や「🪜登れる場所」を整える
猫はとても警戒心が強く、怖いと感じたときやストレスを受けたとき、とにかく隠れてやり過ごそうとします。ソファやベッドの下など、安心できる「避難場所」があるだけで、猫の不安はぐっと軽くなります。
また、猫は本能的に、高い場所=安全な場所、と感じます。周囲を見渡せる場所にいることで安心し、落ち着いて過ごせるようになります。このように、「隠れる」「登る」は、どちらも猫のストレス軽減に欠かせません。
3.一度スプレーされた場所は、酵素系クリーナー🧴でしっかり消臭!
匂いが残っていると、猫はそこを再びマーキングする傾向があります。なぜなら、「自分のにおいがある所=自分の場所」と認識し、そこの縄張りを主張しようとするからです。
しかも、猫の嗅覚は人間の数十倍〜数百倍! 再発防止には、アルコールや家庭用洗剤ではなく、酵素系クリーナーや専用消臭剤を使い、しっかり消臭することがポイントです。
🌸“さくら猫”の名にふさわしい、穏やかな猫生を
このように、おうちでマーキングをしてしまうのは、元さくら猫の悲しい習性と言えます。
どうか、外の世界で頑張ってきた元さくら猫の胸中をご理解いただき、おうちの子として迎え入れてはいただけないでしょうか?

シニアの元さくら猫「バンビ」は弐号館にいます。
お見合いは、営業時間内であればいつでも可能です。温かいご縁がつながるよう願っています。
2026年6月22日
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